先日「地獄の田舎暮らし」という書籍を読みました。たまたま記事で見かけて、刺激的なタイトルだなと思い、怖いもの見たさで衝動買いをしました。内容を一言で言うと、"田舎暮らし"の実情について移住者の体験談を交えながら解説されています。"地獄"とついてるだけあり、思い描いていた理想の暮らしが徐々に崩壊していく様が、生活費や人間関係などのカテゴリごとに生々しく書かれている本です。このなんとも恐ろしいタイトルの本を読んだ率直な感想として、田舎暮らしを全否定しているわけではなく、正しく理解した上で住んだ方がいいですよ、と警鐘を鳴らしてるように感じました。キャッチーなタイトルをつけた上で、前半でネガティブな内容を展開し、それでも住みたいって人はこういうところに気をつけてさあどうぞ、みたいな。実際に本の構成も最後に「それでも住みたい人へ」という章が設けられています。で、ここからは完全に私の考えたことになるのですが、田舎に住んで後悔する方々が共通して直面するのが"期待と現実のギャップ"であって、田舎暮らしの厄介なところは、各々の思い出や記憶の中で"異常なまでの期待値が勝手に醸成されていること"なのだと思っています。その辺りについて、せっかくなので少しだけまとめてみたいと思います。※2025年追記:小田原移住についてAIに聞いてみた、みたいな記事を書いてみました。事前に自身が求める条件を整理した上で、AIにおすすめの地域や小田原とのマッチ度を聞いてみると、ギャップは少なく公開しにくいのではと考えています。よければ以下の記事も合わせて参考にしてください。記事はこちらです▼小田原移住へのAIの回答に移住者として思うこと期待と現実のギャップそもそも"期待と現実のギャップ"は、移住に限らず何にでも起こりえます。SNSで話題のカーテンを買ったら思ったような色ではなく断熱性もいまいちだった。アットホームだと聞いて入社した会社が殺伐としていた。ダイエットサプリを数ヶ月飲んだけど痩せなかった。などなど、様々なシーンで期待と現実のギャップは発生しますし、それにより大小さまざまな後悔が発生します。人は何か主体的な行動を起こすときに、無意識に期待を抱いてしまうからです。ただ一方で、期待と現実のギャップはプラスに働くこともあります。私も小田原に住むまでは、この本に書かれているレベルではないにしろ地域特有の"何か"があるのではと不安に思っていました。ですが実際に住んでみると、小田原は"田舎"というよりも"地方都市"といった感じで、基本どこでも移住者ウェルカムな空気が流れており、むしろ良い方のギャップが大きかったため、満足度はとても高くなりました。過去の関連記事▼小田原移住前の不安と実際。さて一方で、いわゆる"田舎暮らし"に関しては、期待と現実のギャップが耐えかねるレベルで発生するのではないかと考えています。その原因の1つとしてあるのが、幼き頃にアニメやゲームで見た田舎の風景です。アニメやゲームの中では、田舎でのびのび暮らす光景がすごく魅力的に映ります。新鮮な野菜を食べて、生き物と共生しながら自然の中でゆっくりとした時間を過ごす。川のせせらぎを聴きながらこどもが遊ぶ姿を眺めたり、夜は満点の星空を見上げたり。まるでとなりのトトロのような田舎生活に、若かりし日の私も憧れておりました。また、アニメやゲームでは、一時的によそ者扱いされる描写があったとしても最終的には受け入れてくれ、むしろ近所の頑固親父は優しく温かい人だった、みたいなハッピーエンドの展開がほとんどです。その間わずか数十分から数時間。だから、暮らしていく上でもっとも肝心なところを"なんとかなる"と見過ごしてしまう。そうして田舎暮らしへの良いイメージ"だけ"が、何十年もかけて刷り込まれているので、ちょっとやそっとじゃ剥がれないし、とてつもない期待を"各々が勝手に"膨らませてしまっている。そんなイメージだけが先行して安易に移住したものの、"住む場所"としての田舎の現実がギャップを生み、とんでもないことになっている人がいるのではないかと。ただまあ、偉そうに書いてはいるものの私自身は田舎暮らしを経験してないですし、あくまでこれらは書籍を読んで推測したことに過ぎません。ですが少なくとも、「期待をして田舎に行ったけど現実は違った」と嘆く人がいるってことは、期待を抱き過ぎている人もいるのではないかな、と感じるのです。だからやっぱり、正しく理解した上でそれでも住む、っていうスタンスが重要そうです。事前の調査なしに、全てを背負って田舎に行くのは博打のようなもので、リスクが高すぎます。そして、先ほども書いた通り"期待と現実のギャップ"は田舎への移住に限らず発生するので、私もこのメディアで小田原のことを発信している手前、期待値がずれないように等身大を発信せねば、と自戒しました。小田原はやっぱりちょうどいい街さて、その上でです。その上でですよ。"地獄の田舎暮らし"を読んで改めて思うこととしては、小田原はやっぱりちょうどいい街だということです。少なくともこの本にあるような"田舎"ではない。自然が近くにあるのに不便はなく、来るもの拒まず去るもの追わずの雰囲気で、個々がちゃんと守られている感じがします。以前、先輩移住者としてのトークセッション(質問会)に参加した時も、利便性や治安、人間関係などを聞かれましたが、その辺りは本当に困ったことがないです。デメリットがあるとすれば、もちろん都内などの大都市と比べたら遊ぶ場所や買い物する場所(マルイとかルミネとかそういうレベル)はないです。ただそれでも、普通にファミリーで暮らす分には全く困りません。小田原駅周辺(特に海側)に至っては、車がなくても十分生活できるレベルです。だから、特にライフステージとか雰囲気がハマれば、小田原は最強です。日本中を探せば似たような地域はたくさんあるとは思いますが、都内に通える範囲で探すとなると、そう多くはないのでは。とはいえ、これらもあくまで1年間住んでみた私の主観でしかないので無責任なことは言えないのですが、、、いいところなんですよ、本当に。今から都内に戻ろうとはまったく思えないです。まあ、期待値上げすぎるとギャップが生まれるかもなので、そう感じてる30代前半(都内勤務・リモート中心)も中にはいる、くらいに認識していただけたらと。以上、タイトルに惹かれて恐る恐る読んだ「地獄の田舎暮らし」でしたが、改めて小田原のちょうど良さを認識する機会となりました。興味がある方は是非読んでみてください。それでは。小木曽